聞き語り銘板

引く手あまた

 見える人Gさんはあちらの存在に引く手あまたの人でもある。

 まず守護神。家系に纏わる守護神が二系統あり、彼女をどちらが守るのかで喧嘩している。一方の守護神は土地に深く関わる守護神だったため、その地を離れた現在、彼女は一方の守護神のものである。

 色々な動物の神々、例えば白狐やお使い狼が彼女に会いに来る。彼女は動物に大変に優しいので親近感を持たれているのかも知れない。

 どこかから噂を聞いた色々な拝み屋が攻撃を仕掛けてくる。様々な呪法も自然に彼女が避けてしまうのは傍で見ていて驚くべきことである。(呪術廻戦ほど派手では無いが、世の中には呪術を悪いことに使っている術師は数多い。そしてそういう連中はやたらとマウントを取りたがる。現在進行形だし、トラブルが嫌なので詳しいことはここには書かないが)

 殺し上等の祟り神も寄って来る。見える彼女を頼って何の関係もない彼女に助けを求めてくる人も多く、その関わりで襲われることがあるのだ。たいがい彼女の守護神がボコって終わりになるが。

 中でも面白かったのが、クダ系のキツネだ。彼らは自分を売り込みに来るのだ。
 目の端にちょろちょろと何かの小動物が動いたと見えたら、足元にサイフが落ちている。そういうことが何度か連続する。
 無論それらのサイフはすべて警察行きか、そのまま無視する。
 彼らの贈り物を拾い着服などすれば、それがそのままクダとの契約の成立を意味する。クダの宿主になって良いことなど何もない。彼らは基本的に寄生体なのだ。

 このように彼女はあちらの世界に引く手あまたの人物なのだ。

後日談)
 彼女にこの一節を見せたら「凄い人いるね」と感心していた。
 誓って言うが彼女から見たり聞いたりした話をそのまま載せている。
 彼女は少し天然な所がある。